数学研究

アクセスカウンタ

zoom RSS 確率 当たりの確率は、くじ引きを引く順序に無関係

<<   作成日時 : 2010/10/08 14:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 0

 期待値からは、しばらく離れて、確率について考えてみる。

確率は期待値の一種とも言える。

「サイコロを1回振って6の目の出る確率」
=「サイコロを1回振ったときの6の目の出る回数の期待値」

一般的に表現すれば、

「ある試行を1回行ったときに、ある事象が起こる確率」
=「ある試行を1回行ったときに、ある事情が起こる回数の期待値」

である。

当たり前のことだが、確率を理解することは期待値を理解するための必要条件である。


例題1
-----------------------------------------------------------
箱の中に、10本クジが入っていて、そのうち3本が当たりで残りはハズレである。10人が順番に1本ずつクジを引くときに、2人目の人が当たりを引く確率を求めよ
-----------------------------------------------------------

この問題をどのように解くべきか?

解答A 
(1人目が当たりの確率)×(1人目が当たりの場合の2人目が当たりの確率)

(1人目がハズレの確率)×(1人目がハズレの場合の2人目が当たりの確率)
=(3/10)×(2/9)+(7/10)×(3/9)=3/10

解答B
2人目が、10本のうちのどのクジを引くかは無作為だから、どのくじを引く確率も等しく1/10
当たりは3本だから、 3/10


どちらの解答も正しい。

簡潔でエレガントなのは、Bの方である。Bであれば、何人目であれ、当たりを引く確率が3/10であることが容易に分かる。Aの場合、3人目、4人目・・・・となるにともない、場合分けが複雑になってしまう。

とはいえ、Aのような方法で解くことが無駄で無意味ということではない。

「何人目だろうが、確率は3/10」と分かった上で、あえて場合分けして求めて、確かに3/10になることを確認することも重要である。

だから、授業などで、「あえて、場合分けで求めてみよう」という具合に、解き方を制約することは当然あり得る。


しかし、定期試験などで、「場合分けで求めること」などと解き方を制約するのは、大いに疑問である。


 生徒が場合分けの方法が使えるかどうかを確認したければ、「サイコロを振って、奇数が出たら1本、偶数が出たら2本クジを引く。少なくとも1本は当たりクジを引く確率を求めよ」というように、場合分けを使わないと解けない問題を出すことが望ましい。

y=2x x軸 x=3 の直線で囲まれた図形の面積 を、あえて積分で求める
1+2+3を等差数列の和の公式で求める

ということは、積分で面積が求まることや、和の公式の妥当性の確認としては有効かもしれないが、
算数レベルで求まる問題に、無理に積分や和の公式を使う必要性もない。

1+2+・・・・+6752 という問題にすれば、公式を使わざるを得ない(あるいは、公式を知らなければ、計算のやり方を工夫して実質的に公式を自分で導くことになる)。和の公式の理解を確認したければ、テストではそのような問題を出題すべきだと思う。

 それでもなお、「積分で面積を求めて、三角形の面積になることを確認せよ」というような問題は、あり得るかも知れない。


 しかし、例題1のような確率の問題について、「場合分けして求めるように」と解答方法を制約することは、数学を教える上でそのような出題がふさわしいかどうか?、という以前に、

 そもそも本質的に不合理なものである。

例題2
------------------------------------------------------------
箱の中に、10本クジが入っていて、そのうち3本が当たりで残りはハズレである。10人が順番に1本ずつクジを引くときに、1人目が当たりを引く確率、2人目が当たりを引く確率 をそれぞれ求めよ。

ただし、1人目はクジを引いても、中身を見ないで結果を伏せいておく。
2人目はクジを引いて中身を公開する。
その後、1人目は伏せておいたクジの中身を公開する。
------------------------------------------------------------

「場合分けをしなくてはならない」という制約がある場合、「正しい解答」は次のどちらだろうか?



答案(ア) 
------------------------------------------------------------
1人目が当たりを引く確率:3/10  

2人目が当たりを引く確率:
(1人目が当たりの確率)×(1人目が当たりの場合の、2人目が当たる確率)
+(1人目がハズレの確率)×(1人目がハズレの場合の、2人目が当たる確率)
=(3/10)×(2/9)+(7/10)×(3/9)=3/10
-------------------------------------------------------------


答案(イ)
------------------------------------------------------------
2人目が当たりを引く確率:3/10

1人目が当たりを引く確率:
(2人目が当たりの確率)×(2人目が当たりの場合の、1人目が当たる確率)
+(2人目がハズレの確率)×(2人目がハズレの場合の、1人目が当たる確率)
=(3/10)×(2/9)+(7/10)×(3/9)=3/10
------------------------------------------------------------


(ア)は、例題1の解答Aと同様、クジを引いた順に従って場合分けをしている。
(イ)は、当たりかハズレかの情報を公開した順に場合分けをしてる。


どちらがより正しい解答か?という問いはナンセンスである。どちらも同等に正しい。

どちらも正しいのであれば、(ア)(イ)それぞれの前半部分を取り出して、


答案(ウ)
------------------------------------------------------------
1人目が当たりを引く確率:3/10    
2人目が当たりを引く確率:3/10
------------------------------------------------------------



としても、全く正しいはずである。


つまり、「場合分けをしなくてはならない」という制約は、本質的にナンセンスである。


どのような順番でクジを引こうとも、どのような順番で当たりかハズレかを公開しようとも、
当たりの確率は、3/10である。



ここで、「クジを引いた順序に従って場合分けせよ」、あるいは、「当たりかハズレかを公開した順序に従って場合分けせよ」という指示であれば、(ア)と(イ)どちらがより妥当な解答であるかは、決定可能であろう。

 だから、このような「クジを引いた順序に従って(あるいは、 クジを公開した順序に従って)場合分けせよ」というような制約は、「本質的にナンセンス」とは言えないかも知れないが、そのような制約を課すことの数学教育上の有効性については、やはり疑問である。

 つまり、一桁の足し算や、積分の問題そのものは、解答可能でナンセンスではないとしても、小学生に積分を出題したり、大学受験生に足し算の問題を出すことの有効性が疑問である、というのと同様のことである。


 実際、例えば「場合分けは時間軸に従う」というようなことにしていると、条件付き確率の理解が難しくなってくる。これについては次回書く予定であるが、


ここでは、順列について考える。

------------------------------------------------------------
1,2,3,4,5,6 の数字がそれぞれ書かれた6枚のカードがある。これを1列に並べる並べ方は?ただし、左から3番目は偶数であるように並べる。
-------------------------------------------------------------

3番目に来るのは、2か4か6の3通り。3番目が決定すれば、あとの5枚のカードを5箇所におけばいいのだから、
3×5!=3×5×4×3×2×1=360 360通り


-------------------------------------------------------------
1,2,3,4,5,6 の数字がそれぞれ書かれた6枚のカードがある。これを左から順に1枚ずつ1列に並べた場合、左から3番目が偶数であるような並べ方は、何通りか?
-------------------------------------------------------------

このように「左から順に1枚ずつ並べる」としても、上の解答を変更する必要はない。

実際にどのように並べるかに関係なく、「左から3番目が偶数の場合だから、そこに入りうるのは3枚で・・・」と考えてよい。

これを実際の並べる順にしたがった場合、

1番左側に6通り、左から2番目が5通り、1番目と2番目の選択の仕方によって、3番目は1通り・2通り・3通りがあり得ることになり、複雑になってしまう。

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い
驚いた

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
確率 当たりの確率は、くじ引きを引く順序に無関係 数学研究/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる